自動車ニュース
年頭所感─公益社団法人兵庫県バス協会 会長 長尾真
新年、明けましておめでとうございます。

皆様方におかれましては、平成30年の初春をお健やかにお迎えのこととお慶び申し上げます。

昨年のわが国経済は、景気拡大の長さが高度成長期のいざなぎ景気を超え、有効求人倍率もバブル期を超えるなど、明るい兆しが見られる一方、個人消費は力強さを欠き、不安定かつ不透明な状況で推移しました。

私どもバス業界は都市部においては業績が回復傾向にあるものの、燃料価格のコスト増やとりわけ慢性的な人手不足への対応は喫緊の課題になっています。近年「働き方改革」が提唱されているところですが、これまでの事業のやり方を見直し、生産性向上に向けた各社の創意工夫が問われるところです。

バス業界におきましては、前述しました課題を含め重要なテーマを以下の3点申し上げます。

1点目は、地方創生に向けた交通網構築への取り組みです。

今後県下においては人口減少が進み、何もしなければ公共交通空白地域が一層拡大するものと推測されます。地方創生の名の下、県下においては8自治体で地域公共交通網形成計画が策定されていますが、地域密着を身上とするバス事業者が積極的に対策を講じようとする自治体や、戦略的拠点と考える自治体と連携し、路線バスという形態に拘らず、真に必要な交通体系を描くことが必要かと考えます。そして、その体系の中でプロの事業者としての役割を見出すことを考えるべき時代になっているのではないでしょうか。

また、昨年の訪日外国人数は過去最高の2,400万人に到達し、2020年の東京オリンピックに向けて、今後さらに増加すると思われますが、この訪日外国人のニーズをうまく取り込むために、より広域での連携のとれた施策をバス事業者がリードしていくことも必要でしょう。

2点目は、バス運転者不足への対応についてです。

大型2種免許保有者の減少により日本各地でバス運転者不足が深刻化しており、この状況がさらに悪化すれば、減便・休廃止が一層進むものと考えられます。各社においては待遇改善をはじめ高卒者・女性の積極的登用など、様々な施策を行っていることと思いますが、協会としても地域の足を守る魅力ある、そして尊敬されてもいい仕事であることをしっかりアピールするとともに、急ピッチで開発が進められている自動運転をはじめIoT・Ai技術の活用についても積極的に情報収集を行い、共有を図りたいと考えています。

3点目は、バス事業の信頼回復です。

軽井沢のスキーバス転落事故以降、様々の施策を講じ、バスの信頼回復に努めてきましたが、昨年においても運転中のスマートフォン操作や運賃の不正収受などが発生し、世間から厳しい視線を向けられています。「安全は全てに優先する」というスローガンのもと、日本バス協会が昨年9月に策定した「バス事業の総合安全プラン2020」を骨子に各社が基本に立ち返って全力で取り組み、お客様からの信頼を築き直していかなければなりません。

新年早々、堅苦しい話になりましたが、兵庫県バス協会としましても、安全最優先でこれら課題に対処し、協会加盟事業者から評価をいただけるように努力して参ります。併せて利用者への利便性向上策や事業者への経済的施策などの課題に対しても、日々取り組んで参りますので、今後とも皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。今年1年も何卒宜しくお願い申し上げます。