自動車ニュース
【年頭所感】(社)兵庫県バス協会 会長 上杉 雅彦 (2/2)
 まず第1に、バス利用等総合対策事業が、目的と事業内容の関連が薄いという理由で廃止とされ、予算計上見送りとなりました。これは、オムニバスタウン整備総合対策事業、公共車両優先システム及びBRT(大型連節バス)の導入促進等、都市バスの運行を安全かつ円滑にするための不可欠な事業であり、今後のバス事業にとっても必要な事業であります。

 次に、地域公共交通活性化・再生総合事業は見直し、自治体の判断に任せるとの結果となりました。当事業の補助金により、自治体はバス実証実験運行等の取り組みを行っております。各自治体も財政が厳しい状況の中で地方に任されては、何もできなくなることが予想されます。特に路線バスも運行していない交通空白地域における足の確保を目的としている取り組み等が廃止され、地方が切り捨てられる感も否めません。

 第3に、バス運行対策費補助(地方バス補助)については見直し、車両購入費補助は廃止となっております。赤字路線の欠損補助については、重要と捉えられていることが救いではありますが、収支状況の厳しい地方のバス事業者はバス運行対策費補助によってのみ車両更新しているところもあります。車両更新が出来なくなると必然的に路線撤退につながります。その車両補助分を運行欠損補助にまわすとしても、補助要件に合わない路線も多く、必ずしも車両補助を受けている事業者へ補助金交付されるとは限らず、地域における生活の足の確保も難しくなってきます。

 このように、バス事業者にとっては大変難しい状況ですが、バス協会としても国をはじめ関係機関へ各事業予算の確保、継続をお願いし、公共交通支援の措置を要請しております。
加えて、軽油引取税及び自動車重量税の暫定税率の撤廃と環境税の関係、高速道路料金の無料化の実施等、具体的な形がまだ見えない事業も多くあります。今後も各項目の動向を注視し、見極めるとともに、その対応策を模索する辛抱の時が続くと考えています。

 次に、バス事業にとって最も重要で、事業運営の礎であります安全について、昨年「事業用自動車総合安全プラン2009」が提言されました。全国の交通事故の発生については平成16年をピークに事故件数は年々減少し、死者数も近年着実に減少しています。しかしながら事業用自動車については、事故件数、死者数ともに、自家用自動車に比べて減少の幅が小さいという憂慮すべき状況に対して、10年後の事故削減目標の設定と目標達成のために講ずべき措置が示されました。

 これを受け、昨年6月には、日本バス協会において「バス事業における総合安全プラン2009」が設定されました.バス事業に係る事故等削減目標として、今後10年間で1.交通事故死者数をゼロとする。2.人身事故件数を1800件以下(半減)とする。3.飲酒運転をゼロとする。が掲げられました。その目標を達成するために、あらゆる施策を講じることになります。
このプランに基づき、我々バス事業者が自らのプランを設定し、出来る限りの手段を講じ、いち早く目標の達成につなげていきたいと考えています。
安全を最優先とする取り組みを継続していくことが、国民最後の足としてのバス事業の重要性を再認識させ、再生していく可能性も出てくると思っています。

 兵庫県バス協会としましても、会員会社のニーズにスピーディに対応すべく、日々努力を重ねておりますし、引き続き理事会を始めとして乗合委員会、貸切委員会を積極的に開催し、会員の為の活動を実践して参りますので、今年1年間何卒よろしくお願い致します。