自動車ニュース
第11回事故防止セミナーを開催ー近畿運輸局 (2/2)
帝塚山大学学長蓮花一己氏は「事業用自動車の事故と運転者教育」について講演し、「安全のためには事故を促進する環境要因、条件、対象、つまりリスクを管
理することが重要」と説いた。ドライブレコーダーから収集したトラック事故の事例を多数紹介し、初心者が起こすような事故を職業ドライバーでも起こしている現実があることを指摘し、さらに危険予測能力が低い傾向にある若年層が今後社会に出ていく際に、「ベテランドライバーの知恵を使い教育し、全体のレベルアップをしていくことが必要」だとドライバー教育の重要性について述べた。具体的な教育方法の一例として、ジャイロセンサーを用い左右の安全確認を行ったか、ペダル操作を検出し適切なブレーキ準備を行っていたかなどの
ドライバーの動きを検出して点数化する技術について紹介した。点数化することで客観的な指標が得られるだけでなく、個々のドライバーの運転行動を収集することでリスク傾向を特定するためにも有用だという。「今後は、従来の集団対応での講習や実技訓練を基本としつつも、個々の運転診断や診断結果に基づく適切なフィードバックなどの個人対応でリスク管理を行うことが必要になってくる」との見解を示した。

最後に、みなと観光バス株式会社代表取締役の松本浩之氏が「究極の安全運行とお客様に有益な情報提供を目指して」と題した講演を行った。昨今の課題としてバス運転者の高齢化を挙げ、人手不足問題はトラック業界なども含めた共通の深刻な課題としつつ、一つの解決策として自動運転・自動走行について触れた。昨年11月から12月にかけてNTT ドコモらと協業し実施していた神戸市北区での自動走行の公道実証実験について取り上げ、無事故で無事終了したことを報告する一方で、「取り組めば取り組むほど現実的には難しい点が多々あると肌身で感じた。テクノロジーは日進月歩だが、まだまだ10年20年はドライバーが担い手となって、今まで以上に安全安心な運転をしてもらうことが重要」と語った。また、IoTを活用したバス運行支援で業務効率化を行い、人手不足の解決を目指す取り組みとして自社開発のデジタコ& マルチロガー「Docor( ドコール)」を紹介した。松本氏は「事故を無くすということが利益貢献になり、企業の社会的な信用度も高まる。事故ゼロを達成するために今後も取り組んでいきたい」と語った。