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白タクの違法性・危険性の周知に努めるー近運局 定例記者会見
近畿運輸局の栗原弥生・自動車交通部長、藤本実・自動車監査指導部長らとの定例記者会見が3月15日に開かれた。

約一年間、近畿のタクシー業界を見てきた感想と業界の問題点について栗原部長は、「業界を取り巻く環境は加速度的に動いている。今だからこそ業界の皆さんが一丸になって取り組んでいく必要がある思う。若手の力を生かしながら、新たな発想と、機動力を発揮して、困難な状況に対処していただきたい」と述べた。藤本部長は「道路交通法違反、無免許運転の通報が未だにあるのはすごく残念だ。タクシー業界に限らないが、人材不足、運転者の確保が難しい。また、75才以上で毎年受診が必要となる高齢運転者の適正診断の受診対象者が多い。高齢者に限らず、増加しているタクシードライバーの脳疾患事故と合わせて、策定された対策・ガイドラインの活用など、安全対策について対応していきたい」と述べた。

大阪市交通圏の事業者計画について栗原部長は、「2月28日付で法人の事業者すべてに認可を出した」とし、「活性化事業に関しては、事業規模や経営状況によって事業者の取り組みに差があるが、確実に実行して頂くことが第一だと考えている。供給輸送力の削減については、認可事業者計画に従って、減車、全日制限、抹消登録などを実施して頂くことになる。曜日制限については、休車計画を立てて頂くこととなる」と述べた。

大阪タクシー協会が遠距離割引是正の実証実験を中止したことについては、「判断を尊重させて頂く」と延べ、今後について「業界での議論、それから事業者の対応に期待したい。そのうえで改めて具体的に何かご相談があれば、最大限の支援をさせて頂く」とした。

中国式白タク排除に向けた合同街頭啓発活動について、「関空での1回目の啓発活動は、空港を利用する観光客と、自家用のレーンに駐車しているドライバーにチラシを配布した。2回目は警察が自家用レーンの違法駐停車などの取り締まりを行った。京都では日本語と中国語を両面印刷したチラシを宿泊施設に掲示して頂くように依頼した。また、警察官が中国語で啓発活動を行って、そもそも違法行為だとは知らなかったというような回答を頂いている。奈良でもチラシを配布した。在日本中国大使館のホームページには、春節の渡日向けの注意喚起をしている」と述べた。また、一人でも多くの外国人観光客に『白タク』の違法性と危険性を認識して頂きたい」とし、「『白タク』の対策だけではなく、訪日外国人の利便性及び満足度を高めることも大切」とインバウンドへの積極的な取り組みも必要だと述べた。

大阪で行われたタクシーに対する街頭監査については、藤本部長から回答があった。「年末の総点検時期に行われた街頭監査の結果、数社に対して監査の実施をした。以前より少し改善されたように思われる」と述べ、今後に関しては「状況を見極めたうえで適宜、街頭監査の実施を検討していきたい」とした。

過労防止関連違反等に係る車両停止等の処分量定引き上げについて、「乗務時間の遵守違反として、これまでは16件以上30件以下の場合であれば、処分日車数は現行20日車であったが、改正案では40日車になる。健康診断の未実施に関して、現行では1/2未満は警告、1/2以上は10日車の処分だったが、改正案では、未受診者1名は警告、2名は20日車、3名以上は40日車の処分となる。社会保険等の未加入に関して、現行、一部の未加入が10日車、全部未加入では20日車だが、改正案では、未加入者1名は警告、2名は20日車、3名以上は40日車になる」と行政処分の基準が改正されると述べた。