自動車ニュース
【年頭所感】兵庫県タクシー事業協同組合 理事長 橘 信一郎 (2/2)
 昨年は、これからのタクシーの在り方が一変する法律が、国会の全政党の賛成を得て成立いたしました。一般的にタクシー新法と呼ばれているものです。このタクシー新法は10月1日から施行されましたが、タクシー新法によって、7年余り続いた規制緩和は終焉し、規制強化時代が新しく登場しました。新規参入、増車は事実上不可能に近くなり、運賃も従来の自動認可運賃の初乗り運賃上限660円、下限590円の8段階であったものが、上限660円で変らないものの、E運賃から下の下限運賃が消し去られて、D運賃630円までの4段階が新自動認可運賃となりました。

 我々が注意しなければならないことは、タクシー新法はコンプライアンスに重点を置いていることです。大阪では10月27日、最初の行政処分で615日車車両停止、62点、123日間の事業停止が出ております。同日には495日車50点も出ており、コンプライアンス対応が不十分であると、一度の処分で事業停止を通り越して事業許可の取り消しという事態が発生する可能性は少なくありません。

 事業を健全に永続させるためには、会社の体質を根本から改めていく覚悟をしなければならないのです。いま近畿運輸局は、この体質改善を私達に強く迫っていることをよく認識しておいていただきたいと思います。
残念な事は、何十年来、苦楽を共にしてきた兵協の何人もの仲間達が、廃業、倒産という事情を背負って姿を消していることです。兵協が神協と共に兵協の名の下で歩み始めて2年になります。当初、組合員数81社、所属両数3,696台で発足いたしましたが、昨年11月末には組合員数75社、保有車両数3,363台まで激減いたしました。

 この兵協が兵協として多くの組合員会社に支えられ、支えなければならない事業はチケット事業にほかなりません。しかし、チケット事業はクレジットカード、クレジットチケットの進出、タクシー利用者の減少を受けて、年々下降傾向にあります。いまでは10年前の30%台までに落ち込んだのが実状です。

 兵協のチケットは大阪、京都では見られない大きな特徴を持っています。それは、チケット手数料をお客様から頂いているシステムです。この制度は、昭和46年に始まっていますから、今年で40年になります。兵協のチケット交換手数料が、どこの地域の手数料より低く押えてこられたのは、この手数料があったならばこそです。なんとしても50年、60年へとこのシステムを伝えていく責務が私達にあるといえるでしょう。

 折角の年頭のごあいさつなのに暗い話題が多くなりました。しかし、古人の言葉にあるように夜明け前が最も暗いとすれば、もういま以上に悪くなりようがありません。今年こそ“チェンジ”で“景気交替”の1年であることを深く信じたいと思います。また、モンテクリスト伯ではありませんが“待てそして希望せよ”で、今年こそは、事業を続けてきてよかったなぁと語りあえる1年であることを切望する次第です。

 最後になりましたが、各社のご繁栄、ご健勝を心より祈念いたしまして、念頭のごあいさつといたします。