自動車ニュース
ウエスト神姫 自動運転EVバスの実証実験 (3/3)
自動運転時代におけるバス事業者の役割とは?

――実際に遠隔監視をされて、課題だと感じられたことは何でしょうか。

正木氏:自動運転車はパソコン同様、フリーズしたり、接続が切れたりすることも当然あります。電源が落ちている時には様子が見られないので、遠隔で見ているのが歯がゆいこともありました。今回は、カメラがクルマの前方、後方、室内を映していました。横から来たクルマに対してはセンサーが反応して止まりますが、遠隔監視側からは見えていません。人が運転しても死角はありますが、運転手は体や顔を動かすことによって死角を減らしていけます。当実験の遠隔監視では、映像・情報を取得する手段はカメラのみだったので、今後はクルマの周りで何が起こっているのか、より詳細に把握できるようなシステムが必要だと思っています。

――路上駐車など、現場の人が対応しなければならないケースで、何か課題はありますか?

須和氏:自然災害や事故があった時にどうするかという課題は、運転手がいても、無人の自動運転でも同じです。運転手が自力で解決できないことが起こった場合には、何かしら緊急の対策が必要で、救急車やレスキューや道路管理者を呼ぶ必要があります。そこは運転手が乗っていても乗っていなくても、同じことだと言えます。

――将来的に自動運転バスを走らせるという、具体化への道筋は見えましたか?

須和氏:千人近くを運ぶという実証実験は今までにない規模だと思います。だからこそ見えてきた課題や問題も多くありました。実現化までにはまだまだ課題が山積みです。限定地域で導入しようと思えば、できるのではないでしょうか。一般の人が考えるような、自家用車が自由に走れるクルマを自動運転と考えるのか、限られた地域・ルートを走るのも自動運転と考えるのかで普及の仕方が変わっていくのではないかと思います。また、地域の利用者の方から、これから整備される自動運転のルールへ合わせていく必要があります。