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年頭所感―一般社団法人兵庫県タクシー協会会長 吉川 紀興 (3/3)
次に、タクシー運賃の改定についてですが、運賃改定への取組みはタクシー活性化方策の一環ですが、昨年11月に神戸・阪神間地区及び姫路・東西播地区において運賃変更要請(申請)が始まり、今年2月13日(14日)までに御当局の審査を開始する基準である7割(車両数規模)の要請(申請)を達成する必要があります。

一昨年から本格運賃改定の検討を行っておりますが、「運賃改定におけるアンケート」や「運賃改定シミュレーション」を実施してきました。前回の運賃改定から10年が経過しこの間の需要の低迷から経営環境の悪化が続いており、経営基盤の立て直し、運転者不足への対応、労働条件の改善、活性化対策(インバウンド対策、配車アプリ、決済システムの導入等)等々、を考えるとどうしても運賃改定しか頼る道はないと考え、本年10月の消費税改定に合わせた運賃改定を目指すこととしております。

次に、白タクの問題です。現在東京、大阪の空港等を中心に拡大している中国式白タク行為は、法違反をかくすため、訪日観光客が日本に訪れる前に中国で運賃の精算を済ませてやってきます。従って、証拠に繋がる日本国内での運賃収受は一切ないという実に巧みな手口で中国からの観光客を呼び込んでいます。兵庫県内では中国式白タク行為は今のところ見かけませんが、いつ来ても不思議ではありません。県下では、姫路、淡路島を中心に運転代行事業者による白タク行為がはびこっております。これらはタクシー事業者にとってはより深刻な問題となっており喫緊の取組課題と考えております。

また、当協会は、タクシーが地域の交通機関として、健常者のみならず高齢者や障がい者の皆様のニーズに応えるために、平成24年から「ユニバーサルドライバー研修」を実施(年8回予定)しています。一昨年からトヨタのジャパンタクシー(UDタクシー)が発売され、まさに健常者のみならず高齢者や障がい者の皆様に優しい車として今後2020年のオリ・パラリンピックまで相当数の導入が期待されております。従って、このUD車両のドライバーも安全運転の確保はもちろんですが、より迅速な車いすの固定作業等も必要となります。また、お客様に対するコミュニケーション力を身につけることも重要であります。これらのあらゆるお客さまのニーズに応えるため、今後とも研修内容の充実を図るとともに、兵庫県下全地域において実施して参ります。

次に、全国的に注目されている淡路島地区タクシー事業者限定のウーバーアプリの実証実験は、昨年7月から始まっていますが、この実験は、淡路県民局が主体となり、淡路島の観光振興に合わせた訪日外国人の受け入れ対策を充実させるためウーバーアプリを使ったタクシー配車の導入を目指した実証実験(3月末まで)であり、淡路島内の9事業者が参画協力しております。

年々輸送需要が減少する状況の中で、お客さまの様々なニーズに対応するための取り組みが重要になっていますが、引き続き兵庫県下それぞれの地域において地域の皆様の声をお聴きして各支部とともに事業活動の積極展開を図ってまいりたいと考えております。

最後に、会員各位の益々のご健勝と事業のご発展をご祈念申し上げますとともに、関係各位の深いご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げまして、年頭にあたってのご挨拶と致します。