自動車ニュース
年頭所感─公益社団法人兵庫県バス協会 会長 長尾真 (2/2)
4つ目は地域公共交通への対応です。本年は道路運送法および関連法令の改正が予定されており、地域のまちづくり計画との連携がますます必要になるとともに、MaaSを含めた新たな技術の活用にあわせて異業種参入も含めた動きも出ております。既存の輸送体系に固執せず、新たな発想も加えながら持続可能な地域の交通ネットワークを目指す必要がありますが、我々は今まで地域の足を担ってきた立場でもあり、今まで以上に地域に密着した企業活動を行っていく必要があると考えております。

以上、重要課題を申し上げましたが、何をおいても最大の使命は、安全の確保であります。

貸切バスについては3年前に設立した適正化センターによる巡回指導を行っており、大きな問題はなかったと聞いております。安全・安心な貸切バスの運行を実現するために、あらゆる場面において遵法意識を向上させ、改善に向け日々努力するために、これらの機関を活用していただきたく思います。

乗合バスについては危険なバス停の改善について国土交通省を中心に今後調査が行われますが、バス協会として従前より要望は行っているものの、今回のような本格的な調査は初めてであり、バス待ち環境の改善に向けて一歩ずつ進むきっかけとなるよう期待しています。昨年は重大事故がマスコミ等で大きく取り上げられるなど、バス事業に対して厳しい目を向けられることもございましたが、安全確保に向け真摯に取り組むことで、信用の回復に努めていきたく思います。

厳しい話がある一方で、今年の明るい話題として、本年は56年ぶりに、国内でオリンピックが開催される記念の年になります。外国人観光客をはじめ日本国内において新たな移動需要が高まるなかで、我々交通事業者として、安全を最優先としながら、ニーズにしっかりと応えていかねばならないと考えております。特にインバウンドは公共交通での移動が主であり、多言語表示や多言語を取扱える案内係員の充実など、ハード・ソフト両面で「おもてなし」の精神をもって対応することで、リピートにもつながります。地域によってはオーバーツーリズムの問題など、取り組むべき課題が大きく異なりますが、観光協会やDMO等との連携を密にして、すみやかに対応することで新たなバス利用者の増加につなげたく思います。

以上、年頭のご挨拶としては相応しくない内容もございましたが、新しい年・新しい時代を迎え、業界としても明るい話題が提供できるよう、昨年の流行語「ONE TEAM」の精神で一丸となって取り組んでまいりましょう。引き続き皆様のご支援ご協力をお願い申し上げます。