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兵タ協会員事業者向け安全セミナー開催 (2/2)
橘氏は、メンタルヘルスケアの背景として「2018年の仕事によるストレスを原因とした精神障害による労災請求件数は1820件、認定件数は465件でと過去最多を更新している。その中でも道路貨物運送業が請求件数89件、認定件数37件と業種別1位。同年、脳・心臓疾患の労災支給件数では道路旅客運送業が9件の業種別4位」と現状について説明。また、2008年に施行された労働契約法によって定められている安全配慮義務(労働者が安全で健康に働けるよう、企業側が配慮すべき義務)について「安全配慮義務には2つのポイントがあり、結果予見可能性(労働者の生命・身体・健康に損害が生じることを予見することが可能であったか)と結果回避義務(予見される結果を回避するための努力を尽くしたか)、これを怠ると違反に問われることが増えている」と理解を求めた。

管理職の役割について橘氏は「不調への『気づき』が大切」と早期発見・対応を求めた。またポイントとして「部下のいつもの行動とのずれ(単純なミスが増える、感情の起伏が激しい、服装の乱れ等)は不調のサイン。気づくためには日ごろのコミュニケーションが大切。声かけをする際には、ほかの職員がいる前で、大声で声をかけるのはNG。無理やり聞き出すのではなく、気持ちを受け止めることを心掛けて」等を述べた。

ハラスメントについては「路線バスを駐車車両に接触させる事故を起こしたバスの運転手に対し1か月の営業所構内の除草作業を命じたことについて、除草作業は業務とは無関係であり、また炎天下での作業はいじめにあたるとされ、会社の違法性(パワーハラスメント)が認められた」と過去の裁判判例を紹介。また「セクハラの対象は拡大している。近年、女性上司がお気に入りの男性部下を出張に連れまわす、彼女の有無を尋ねるなど、男性に対するセクハラや、乗客から乗務員へのセクハラも増加している」と説明。「社内外のハラスメントを防止し、若者や女性も安心して働ける環境を整える必要がある。褒めると叱るの割合が、3:1を超え始めた時に、チームは活性化し、成果を出しはじめる。理想のチームを作るには、褒めると叱るの割合が6:1を超えること」と説明し重要性を訴えた。