自動車ニュース
年頭所感― 兵庫県タクシー事業協同組合 理事長 枝松 七郎
コロナ禍で進むデジタル化に応じた「デリバリー事業」
新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
平素は当組合事業に格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

さて、昨年は新型コロナウイルス感染拡大により、4月7日、兵庫県を含む7都道府県に「緊急事態宣言」が発令され、その対応に迫られた1年となりました。今年に入っても予断を許さない状況が続いています。

コロナ禍で企業においてはリモート会議、リモートワークにより働く場所の分散や新しい人員配置が一気に進み、新しい生活様式への変貌を遂げつつあります。

また、政府により国民1人当たり10万円の給付金の支給、企業への助成事業などが行われましたが、資金が行き届くのに時間を要し日本のデジタル化の遅れが鮮明になりました。

近年、中国はデジタル人民元の研究を開始し、世界の基軸通貨を「人民元」とするためのデジタル化を目指し、世界経済の制覇を目指しています。これに対し、2020年1月、日銀は「今年はデジタル通貨元年」とし、デジタル通貨システムの構築を目指すとともに、近い将来、国が発行する紙幣や通貨に代わり、お金を電子データの形で発行するという体制の構築を目指しています。現金はなくなり、スマートフォン、電子媒体等での資金決済となるものです。21年度の与党の税制改正もデジタル化が柱となり、21年度中に3メガバンクもデジタル通貨の実証実験を始める予定です。 そして3〜5年以内に「現金持ち歩き無し」の社会が到来すると予測されています。

コロナ禍の3蜜回避には「ソーシャルディスタンス(社会的距離の確保)」が重要課題です。お金に直接触れない「キャッシュレス決済の必要性」も高まり、これがデジタル通貨への移行を後押しすることになるでしょう。
政府は、今年9月の「デジタル庁」の新設に向けて、国と自治体のシステムの統一、マイナンバーカードの普及促進、スマホによる手続きのオンライン化、オンラインの診療、デジタル教育の規制緩和などを進めようとしています。

タクシー業界でも「デリバリー事業」は次世代に繋がる事業です。外出自粛による買い物代行、薬の受け取り、フードデリバリー(宅配輸送)、医療現場の検体の梱包・輸送など「モノの移動サービス」は既に始まっています。 MOT(Mobilitey Technologies/DeNA)はデリバリー事業に関しても次世代事業本部を立ち上げています。同社の配車アプリを活用すれば、フードデリバリーサービスは同じシステム端末を利用できます。

今後、組合員各社の事業の多角化を側面支援し、コロナ禍の生活様式の変化・事業活動形態の変化、「人の移動」の減少に対し、「モノの移動」への取り組みを前向きに検討していきます。

皆様のご理解、ご協力をお願いするとともに、組合員各社のご発展をお祈り申し上げます。