自動車ニュース
年頭所感― 一般社団法人 兵庫県タクシー協会長 吉川 紀興
地域の皆様の声を聴き
事業活動の積極展開を

新年あけましておめでとうございます。
令和5年の年頭にあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。
   
令和2年に発症した新型コロナウイルス感染症の拡大は、新たなオミクロン株や変異株の拡大により、昨年末には第8波を迎え、発症から4年目を迎えようとしています。

この間、全国一斉に「緊急事態宣言」の発令、解除後、「まん延防止等重点措置」に移行するなど、当県では緊急事態宣言が4回発令され、令和3年9月30日に緊急事態宣言が解除されました。

緊急事態宣言等の発令により、人の流れが大きく制限されたことや「3つの密」の回避、テレワークの推進、旅行や出張が控えられたことから、タクシー事業も甚大なる影響を受けました。タクシーの営業収入は、コロナ禍前との同月対比では、緊急事態宣言が発令された直後の令和2年4月と5月の営業収入は60%減少し、緊急事態宣言が解除された以降においても、コロナ禍前の営業収入との同月対比をすると20%前後減少しています。

この間、我々も全タク連を先頭に、政府・国への支援要望や与党・野党のタクシー議員連盟にも繰り返し要望を行って参りました。その成果として、事業者への経営助成である持続化給付金、資金繰り支援、雇用調整助成金が拡充され、令和2年度の「第3次補正予算」(国交省所管)で、タクシー事業者に対する感染症対策を図り地域公共交通の維持・活性化に向けた取り組みに対する補助が実施されました。

令和3年8月の「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を活用した支援を兵庫県知事及び県下39市町の首長に要請した結果、兵庫県及び14市4町で、タクシー事業者が実施した感染防止対策等を支援する補助事業を実施していただいています。

また、令和3年秋以降の燃料価格高騰に対する政府・国への支援要請を、バス、タクシー、トラック業界の三団体で実施した結果、燃料価格を抑制するために資源エネルギー庁が燃料油元売り会社への補助に併せて、国土交通省では、タクシー事業者に対するLPG価格激変緩和対策事業として、令和4年1月27日〜3月31日まで(1期分)は、資源エネルギー庁に同調し、令和4月〜9月(2期〜4期分)は、国交省が査定したLPG価格が89円70銭/ℓ の超過分を年内に支給し、ロシアのウクライナ侵攻や円安の影響もあり、引き続き10月〜5年3月期分までの支援を計画しています。

兵庫県下では、令和3年度補正予算の「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を活用して、タクシー事業者のLPG価格高騰に対する支援を要請するため、令和4年1月及び同年4月・5月に、兵庫県知事及び県下39市町の首長に「燃料価格高騰に伴う支援」を要請した結果、兵庫県は、1台当たり4,000円×車両数を、神戸市は、市内に配置する車両1台当たり2,000円×車両数を、宝塚市及び西宮市は、1台当たり20,000円×車両数を、伊丹市、姫路市、尼崎市、川西市、芦屋市及び丹波市等で、各市独自の支援を実施していただいています。

さらに、兵庫県は、9月補正予算で、省エネ化支援事業(エコタイヤの購入補助)として、1台当たり16,000円(4,000円×4本)×車両数を、神戸市も同様に感染防止対策支援として、市内に配置する車両1台当たり14,000円×車両数を、伊丹市等でも運行継続の支援をしていただきます。

コロナ禍において、燃料価格の高騰と相まって消費者物価が高騰し、円安の影響等により、全国でタクシーの運賃改定の申請が行われており、準特定地域に指定されている姫路・西播磨地区及び東播磨地区においても、昨年3月22日から公定幅運賃変更要請が始まり、漸く、12月1日付で事案が公示され、現在審査中でありますが、公定幅運賃変更要請を踏まえて、姫路・西播磨交通圏及び東播磨交通圏の準特定地域協議会の開催を予定しています。

また、神戸・阪神間地区では、11月16日から公定幅運賃変更要請が始まっていますが、11月30日に神戸市域交通圏が準特定地域から再び特定地域に指定されたことを踏まえて、神戸市域交通圏タクシー準特定地域協議会の開催を予定しています。

一方、コロナ禍において、タクシー乗務員は県下全体で、この3年間に約2,100人減少していますが、水際対策が4年10月11日から緩和される等、人の流れが活性化し、営業収入が回復傾向を示す中で、乗務員不足への対応も大きな課題となっています。

その為、乗務員の賃金アップや労働条件の改善を図る原資を確保するために、タクシー運賃の早期改定を要請し、乗務員の雇用促進に取り組み、新規運転者の雇用に際しては、国土交通省に要望していた二種免許取得費用補助制度が創設されました。

その他、業界が抱える課題として、労働条件の改善、働き方改革の実現を皮切りに「改善基準告示の見直し」、「ユニバーサル社会の実現に向けた取り組み」、「交通事故防止及び輸送秩序の確立」、「運転代行業の違法行為への対応」、「ライドシェアについて新しい資本主義実現会議、デジタル田園都市国家構想実現会議における議論を注視」、「ケア輸送の推進」など、いずれも重要な課題であり、専門委員会での議論を深め、会員各位のご意見をいただきながら協会一丸となって取り組んでいく所存であります。

年々輸送需要が減少する状況の中で、ウィズコロナを見据えて、昨年10月に水際対策が緩和され、インバウンド需要の回復や、本年7月〜9月に開催される「兵庫デスティネーションキャンペーン」により、多くの旅行客が兵庫県に来訪されることを期待しています。

さらに、お客様の様々なニーズに対応するための取り組みが重要になっているため、兵庫県下のそれぞれの地域において、地域の皆様の声をお聴きして各支部とともに事業活動の積極展開を図ってまいりたいと考えております。

最後に、会員各位の益々のご健勝と事業のご発展をご祈念申し上げますとともに、関係各位の深いご理解とご支援を賜りますようお願い申しあげまして、年頭にあたってのご挨拶と致します。