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試練の時代―兵庫県リサイクル処理工業会の総会開催
 兵庫県リサイクル処理工業会(桜井日出男会長)は5月16日、日刊市況通信社の冨高幸雄さんを講師に招き総会を西神オリエンタルホテル(神戸市西区)で開催した。

 冨高さんはスクラップが強い理由について、「先進国の低成長とBRICSの高成長。加えて、リーマンショック後のデカップリング現象がスクラップの価値を決めている」と解説し、「市場の動向は幅が広がる程、単純な理由で決まる」と独自の見解を述べた。

 この中で、冨高さんは数種類の仮説を元に鉄スクラップが強い理由について解説した。仮説2ではリーマンショック直前のシナリオに戻るとして資源メジャーが資源・エネルギー需要を予測して世界的な寡占化を進める選択と集中に走るとした。

 仮説3ではリーマンショック以降の世界経済の動向を見ながら、日米欧などの先進国がGDPの低成長に苦しむ中、中国やインド、アジアなど資源国では7%以上の高成長を進めその結果、金融超緩和と財政出動の恩恵によるデカップリング現象(成長格差)が表面化しているとした。そのうえで、先進国の鉄スクラップの需要の減少、その一方の新興国の鉄スクラップ消費量の増加で需給ギャップが拡大し、価格動向の強弱も決めているとした。

 また、鉄スクラップの特性については「数量が先行の経済活動に比例する事後生成物で発生・回収までの時間が遅いとし、鉄鉱石と同様に歩留まりで価格が決まる先行評価商品である」とした。

 講義終了後の懇親会に入っても出席者は鉄、スクラップの市場動向について延々と議論を行い親交を深めていた。