自動車ニュース
≪顔≫まじめに、まっとうに。熟練女性タクシードライバー
 金澤奈津美さん((株)ユニヴァーサルタクシー)はハンドルを握り続けて16年間になるベテランドライバーだ。
 
 タクシー乗務員になる前は会社(船具商)を経営していた金澤さん。転機は1995年に発生した阪神大震災だったという。震災で会社の社屋が潰れたため、決意してタクシー業界に入ることを決めた。当時は女性の乗務員も珍しかったため、お客さんがチップをくれることもあったと当時を懐かしむ。
 
 金澤さんが仕事の中で意識してきたのは男ばかりのこの世界でどれだけ売上げをあげられるかということ。その中で、ふと思いついたのは、予約客を持てば上手く行くのではないかと。休む間もなく働き続けた。その結果、100人の中で年間トップの売上げをあげ、同社の社長から表彰もされた。
 
 「明日、また、送ってあげるから。お金はもう頂いているから、明日は運賃はいいですよ」。伊丹空港にお客さんを乗せていた際、発着時間に間に合いそうにないと感じた金澤さんは思わず、そう口にした。このことばを聞いた男性客はこんな運転手のひとは初めてだと大きな声でありがとう、ありがとうと口にしたという。こういった体験があったからこそ、仕事も頑張れたと金澤さんはにこやかに笑う。

 モットーはみんなと同じことはしない。一生懸命、お天道様をまっとうに歩く。日陰を歩かない。真面目に生きることだと金澤さんは顔を引き締めながら、語る。仕事で気をつけていることは乗っていただいたら必ず、お客様としゃべること。
 
 仕事上でのコツは危険な目に何度も合ったが、相手を怒らせないように上手に交わしていくことだという。